[合氣道]
自信と気品を身につけるには最適な日本を代表する武道です。神代から伝わる日本の武の結晶と謂います。特色は神武と唱える御祓(みそぎ)の技であることです。神武とは単に強いという意味ではありません。心身を清めること、つまり御祓の精神で臨む武の極地。眼前の相対的な優劣を競う競技スポーツとは隔絶し、全てを慈愛で包む王者の武道。武をもって至る美の追究とも謂います。心の健全さが外貌に如実に反映するものです。逆もまたしかり。その写る姿は心の鏡也。




[武産合氣]
  合氣道開祖植芝盛平翁が合氣道の源(中核)を示さんとして古事記より生み出された言霊です。原始神道を源にして古事記考、霊学、五輪五常、氣学を修め、武産合氣論考など魂魄の武に至るために必要な修行を表しています。他と比べて格段に豊富な体技ですら、その一部に過ぎません。

本来、惟神之道(日本精神)である合氣道の根本原理 一霊四魂三元八力 霊界神界との交流をもっていざなう萬有愛護 大愛の道を表しています。武術格闘技やスポーツとは次元が異なります。その修行には多大な労力気力を要しますが、真に修めた暁には世上の憂さ(多くは七情による)など些事(小さなこと)であると思い至るでしょう。教化育成の道でもあり、仮に修行の道には到らぬとも、接するだけで霊(ミ)の清めとなる絶倫の武道です。日常の総てが様変わりすることになります。




[稽古]
  合氣道の稽古を大きく分けると、
壱)演武等にみられる体技技術面
弐)呼吸法等の内体技
参)根本原理である原始神道所謂古神道を柱とする精神修行の三義があります。
最も一般的で誰でも分かり易いのは壱)の体技技術です。身体を動かすことですから見て取るのも比較的容易と云うわけです。此の一部をみて柔術と混同している場合もあります。関節技、投げ技、當技等の体術各種を始め、会派によっては太刀技所謂剣術や杖術があります。各会派道場にて各々特色がありますが、技術の巧緻はあれども力と技の世界に過ぎません。しかし、初心者が合氣道を学ぶ際には最も大切な部分の一つであり、また他の二義に比較し遙かに導入し易い事から殆どの人が先ずこの壱)体技技術の面から合氣道の世界に入るものです。
  一方、表の体技技術を支えると共に産み出す源となる根力を発揮するのが弐)内体技と云われる丹田呼吸法や行氣法等です。これも技術ではありますが、見て分かるものではありません。解説書や絵は多数存在しますが、何れも画餅、自ら修行し体得しなけば修得不可能です。参)とも関連しますが、天地自然 不動心がなければどの様に巧緻な技を誇っても砂上の楼閣に過ぎない事を自ら悟ることから修行が始まります。更に… (つづく)




[武道を修むる]
  云うまでもなく、今、我々日本人は
その存在意義を含めた重大な局面にあります。
大東亜戦後喪失した自信は、経済の発展で
苟且(カリソメ)に回復したに見えたのですが、
その後の変遷、いまや支那や朝鮮を主とする
後進国の追い上げと増上慢による内政干渉、
かたや米国の覇権主義とそれらに戦々恐々たる人々。 
 将来の日本はどうなるのでしょうか。
少なくとも日本の歴史の裏付けである武道を学び血肉としたと自負する私共には耐え難い将来しか予想できません。
それも、我々自らが自信を失う教育を受け続けて来たことに根ざす、その端緒は仕向けられたにせよ、繰り返され続けた過ちです。この軛(クビキ)は一朝一夕には克服できませんが、
ただ唯一の解決手段が日本文化、中でも武道がその重要な役割を担い得ると確信しています。武道には確かに武術の鍛錬が大きな位置を占めています。一方、軍略、文芸等も大切な要素です。これらの修養によって育む精神、気質、行動様式の総称なのです。

 我々にとって武道つまり武士道は時代と共に変遷を余儀なくされてきましたが、今なお日本民族の性格として息づいています。智・仁・勇を備え清らかな心身を尊しとする心です。手段を選ばぬ勝利や利益を嫌い、貧しくとも品性を保ち潔いことを好みます。過ちを赦し、たとえ落ちぶれた主でも忠節を尽くす者が現れます。敗者を労り、死者に鞭打つことはありません。そして何より自然を敬い大切に護ってきました。武士道を形作る根幹となる神道にその心が最もよく現れています。

 我々日本人は、その重厚な精神文化を背景に、欧米の植民地主義帝国主義に亜細亜(アジア)で唯一打ち克ち、誇りを保ち得ました。その末裔として、自信を取り戻し、発展するには、何より武道が肝要であると思います。
我々は武産合氣という合氣道の核を護持する団体に属しますが、もちろん武道は合氣道だけではありません。少なくとも日本人の皆さんには、日本の武道を何か一つ身に付けて頂きたいと思います。そこから世界が異なる色に見えて来ることでしょう。
「武道の勧め」それが本文の主旨です。




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 武産合氣会 合氣道解説集